あらすじ
国王軍と魔王軍が長年にわたり衝突を続ける中、国王軍第三騎士団の騎士団長であり王女でもある姫様は、魔王軍に囚われてしまいます。彼女は、意志を持つ聖剣エクスとともに地下牢に囚われ、魔王軍最高位拷問官であるトーチャー・トルチュールによって、王国の秘密を漏らすよう迫られます。しかし、数々の修羅場をくぐり抜けた姫様は拷問には決して屈しないと、エクスは信じていました。
トーチャーが取り出す恐ろしい拷問具を警戒していたエクスでしたが、彼が取り出したのは焼きたてのトースト。エクスは「食べ物で釣るなんて子供騙しだ」と一笑しますが、一方で姫様はよだれを垂らし、「おいしそう~」とつぶやきます。そして、トーチャーがビーフシチューをトーストにつけて食べる様子を見て、ついに姫様は心を折られ、王国の弱点を話してしまいます。
情報を引き出した後、処分されるかと思われた姫様でしたが、彼女はトーストパーティーで盛大にもてなされます。その夜、トーチャーは上層部に王国の弱点を報告しますが、魔王軍があまりに弱いため、その程度の情報では勝てないと言われてしまいます。こうして、トーチャーは有益な情報が得られるまで、毎日姫様に“拷問”を続けることになるのでした。
この物語は、シリアスな戦いの中にユーモアを交えた、異色の騎士団長と拷問官の関係を描いたコメディです。
原作:春原ロビンソン
漫画:ひらけい
姫様、拷問の時間ですのレビュー・感想
タイトルとはかけ離れた究極の癒し作品
「姫様、拷問の時間です」は、その物騒なタイトルからは凡そ大きくかけ離れた、今の時代を代表する究極の癒し系の作品です。魔王軍に捉えられた見た目と剣術の腕には秀でた主人公の姫様が、「拷問」と言う名のグルメ、遊び、リラクゼーションなどの誘惑に載せられて、自分の王国の秘密を暴露しまくると言う内容です。決まりきったパターンと言ってしまえばそれまでですが、今の殺伐とした時代にその全く危なさがないほっこりした展開は、読者の大半を癒してくれると感じます。