あらすじ
ある大雪の夜、フィンランドのラップランド地方にある小さなホテル「メッツァペウラ」の経営者の一人、アードルフは、ホテルの軒下で立ち尽くす若い男性を発見する。もう一人の経営者クスタと共に彼を室内に招き入れると、その男性は日本のパスポートを持つジュン・シノミヤという少年で、全身に和彫りの入れ墨があり、血のついたオオカミの人形以外何も持っていない謎めいた人物だった。怪しい様子のジュンに対しても、アードルフとクスタは温かく迎え入れ、食事やサウナで彼をもてなす。翌日、ジュンが児童養護施設育ちで身寄りがなく行く場所もないことを知った二人は、彼をホテルで働くことに誘う。
その後、「メッツァペウラ」では数十人が集まる結婚パーティーの開催が決まり、普段とは異なる大規模なイベントにジュンは緊張していた。準備中、夜遅くに倉庫内で不審な人物を発見したジュンは泥棒だと思い飛び掛かるが、相手はクスタの娘ファビーだった。この出来事をきっかけに二人は親しくなり、結婚パーティー当日もファビーの助けを得ながら、ジュンは困難を乗り越えていく。
作者:福田 星良
目次
ホテルメッツァパウラへようこそのレビュー・感想
繊細な絵と心温まるストーリーが魅力
私はこの漫画に出会ったときなにより細部まで繊細な絵のタッチにものすごく惹かれました。主人公のピュアな心が奥まで澄み渡るような瞳に現れていてとても素敵でした。もちろん主人公とホテルスタッフとの少しずつ縮まる距離感にもほっこりしながら、ずっと見守っていたくなるような気持ちになりました。特に一巻でいきなりピンチに見舞われた主人公に手を差し伸べる支配人の姿もたくましく、これこそが人と人の信頼の素敵な関係性なんだなと気付かされました。