あらすじ
主人公・吉野みちは、夫・陽一と2年間セックスレス状態にあり、悩んでいた。ある日、同僚の出産退職に触発され、陽一と性交の約束をするが、彼はそれを反故にする。失望したみちを見かねた先輩社員・新名誠が彼女を飲みに誘い、互いにセックスレスに陥っていることを知る。2人は以降、セックスレスについて話し合う関係になる。
みちはセックスレス解消を試みるが、陽一は応じず、夫婦関係は冷え込む。一方、陽一は会社で同僚女性と一夜の過ちを犯し、その罪悪感からみちとの性交に応じるが、みちは夫の心が離れていると感じる。誠もまた、結婚記念日を妻・楓に忘れられ、愛されていないと感じる。彼はみちに告白し、社員旅行で一線を越えようとするが、みちは夫のことを思い出し未遂に終わる。2人はそれぞれの伴侶と向き合う決意をする。
その頃、みちの言動に不信感を抱いた陽一は、自身の不貞行為がばれたと疑い、関係修復を図るが、性交は失敗に終わる。みちは、自分の焦りが陽一を精神的に追い詰めていたと知り、ショックを受ける。一方、誠は楓に不満を打ち明け、彼女は夫との時間を増やす努力を始めるが、誠の心は既にみちに傾いていた。
作者:ハルノ晴
あなたがしてくれなくてものレビュー・感想
失ってから気づく大切さに感銘を受ける
フジテレビで実写化したことをきっかけに購入してみました。夫婦間のセックスレスに悩む主人公と、自分のことで精一杯の夫を中心に物語は展開していきます。一生懸命問題に向き合おうとするもすれ違い、相手が気づいた頃にはすでに違う道を歩もうとしていた。そんな切ない物語が描かれていました。本当に大切にすべきものは何なのか、今向き合うべきことは何なのか、改めて読者に問いかけるような物語です。それぞれのキャラクターに個性があり魅力的で、作者さんは大切に描かれているのだと感じました。いろんな視点から物語が進行するので、飽きずにページを捲ることができました。