あらすじ
消極的で女性との交際経験もなく、30歳を迎えたサラリーマン・安達清は、ある日突然、自分が触れた相手の心の声が聞こえる魔法を手に入れる。しかし、女性に触れる機会がない彼にとって、この力をうまく活用することはできず、むしろ人の心の声が勝手に聞こえてくる不快感に悩まされていた。ある日、清は会社で一番のイケメンで仕事もできる同僚・黒沢優一に苛立ちを覚え、彼の心を読んでやろうと触れてみる。すると、優一の心の声は、驚くことに誰かへの真摯な恋心であり、その相手が自分だと気づいた清は困惑し、優一との距離を取ろうとする。しかし、優一の心の優しさに触れることで、次第に彼を見直し始める。ある日、残業後に終電を逃した清は、優一に「うちに泊まっていかないか」と誘われ動揺するが、下心を確かめようと触れようとした瞬間にバランスを崩して転倒。優一が手を差し伸べた時に感じたのは、清を心から心配する純粋な気持ちであり、その優しさに清は心を動かされ、彼の家に泊まる決断をする。
作者:豊田悠
30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしいのレビュー・感想
一概にファンタジーと言えない
30歳まで童貞だった主人公がある日人の心が読めるようになってしまったら、同僚が自分のことを好きなのを知ってしまう話です。自分だったら心が読める能力があったら絶対に悪いことに使いがちですが、この漫画は登場人物に悪い人がいないので読んでいて温かい気持ちになります。ボーイズラブというくくりにはなりますがそれだけでは表せない人間模様が丁寧に描かれているヒューマンラブストーリーです。かなりの巻数が出ていますが最後まで暖かい気持ちで読めます。
30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしいのレビュー・感想
人を好きになることとは
カテゴリーはBLで、童貞で30歳の誕生日を迎えた主人公は「触れた人の心が読める魔法」を使えるようになったというファンタジー設定ですが、描く内容は人の心そのものです。自分に自信がなく少し卑屈な主人公・安達は、優秀で美形の同僚・黒沢が自分に恋していることを魔法で知ります。同性からの好意に戸惑うのはもちろん、恋愛経験の乏しさや黒沢の好意に甘えようとする自分の狡さに驚き、優秀な黒沢にも苦労や悩みがあることに気づき、安達は徐々に自信を持つようになっていきます。安達&黒沢の恋をとおして、人の心にある強さ・優しさから狡さ・嫉妬まで描かれていて恋をきっかけにした成長が描かれてます。Hなシーンに至るまでがかーなーり長いですが、そこも含めてじっくり読んでほしい作品です。