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    漫画:『羣青』のレビュー・感想

    漫画:『羣青』のレビュー・感想

    あらすじ

    江崎草子は夫からの激しいDVに苦しんでいた。彼女に恋心を抱くレズビアンの大高智代美に夫の殺害を依頼し、智代美はその願いを受けて実行する。こうして、二人の逃亡生活が始まった。逃避行の道中で、二人はさまざまな事情を抱える女性たちと出会う。ヒッチハイクをしていた派手なギャル・千葉京子や、息子を事故で失った楢崎恵美など、彼女たちとの出会いを通じて、草子と智代美は「生きること」の意味を問い始める。

    最初は逃避行を旅行のように感じていた二人だったが、次第に命を奪ったことの重さや、今後の生活の不安に押しつぶされ、絶望の淵に立たされる。智代美は自殺未遂を図るが失敗し、それに激昂した草子は彼女を殺そうとまでする。しかし、追い詰められた二人は最終的に死を選ぶのではなく、罪を償う道を選ぶことに決める。そして、全ての所持金を捨て去り、警察に出頭する決意を固める。

    作者:中村 珍

    目次

    『羣青』中村珍のレビュー・感想

    どこにも行けなくったって、私達は往く。

    殺伐×憎み愛×最初から最後までクライマックス。昨今の「お洒落でポップな百合ブーム」とは一線を画す、壮絶な魂の取っ組み合い。大好きと大嫌いの桎梏の中で傷つき、傷付けあい、もがきあう2人の女性の鮮烈な美しさは、初読から何年経っても胸の奥に刺さって消えません。ギリギリを何度も繰り返してたどり着いたロードムービーの果てが、あのラストで本当に良かったと思います。メガネさんの心の叫び「助けて、さみしい」は青年漫画史に残る見開き演出ではないでしょうか。

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